姿勢が悪いと身体が硬くなって、血流が低下し神経が圧迫されます。その結果、心身のコンディション不良に陥るため、健康面で非常にマイナスです。また、姿勢が悪いと人に与える印象も悪化します。実年齢以上に老けて見える、体型が悪く見える、疲れているように見える、根暗な人に見えるなど、ネガティブな印象を与えてしまいます。しかし、姿勢の悪さは自分ではなかなか気づかないし、姿勢改善を意識付けすることは困難です。そこで、姿勢改善の重要性や方法について述べていきたいと思います。
背骨、脊椎の構造
脊椎は、椎骨という骨が積み木のように重なることで、構成されています。頭部から臀部に向かって順番に、頸椎・胸椎・腰椎・仙骨・尾骨と言います。頚椎は7個、胸椎は12個、腰椎は5個の椎骨から構成されており、最後に仙骨(5個の椎骨が癒合)と尾骨が繋がっています。
人の背骨、脊椎はS字形をしています。椎骨は前方の椎体と、後方の複雑な形をした椎弓から構成されており、椎体と椎弓で囲まれた空間が縦につながり、トンネル状になっています。そこを太さ1cmぐらいの脊髄という神経が走っています。脊髄が通る脊椎のスペースはS字の形の時に最も広くなるように配置されています。
姿勢が悪いことによる弊害
姿勢が悪いということはこの脊髄が通るスペースを潰していること、すなわち脊髄神経を圧迫していることになります。脊髄神経には運動神経と感覚神経が混じり合っており、圧迫を受ければ頭痛、頸部痛、手足の痛みが出現しても不思議ではありません。
脊髄神経からは手足に至る神経だけでなく、内臓にも交感神経・副交感神経が出ています。心臓、肺、腸、膀胱、肛門まですべて脊髄から神経が出ています。姿勢が悪いとこれらの臓器に異常がでても不思議ではないでしょう。
姿勢が悪いだけで肺活量が少なくなり、呼吸機能が低下します。姿勢が悪いと腹圧が絶えずかかった状態となり、尿失禁のリスクも上昇します。姿勢が悪いと排便の際に適切に腹圧がかからなかったり、脊髄から腸への神経刺激のバランスが悪化し、便秘になりやすくなります。
姿勢が悪いことで生じる弊害をまとめると、
- 運動神経/感覚神経を圧迫することで、頭痛、頸部痛、手足の痛みを生じる。
- 交感神経・副交感神経を圧迫することで、内臓機能が弱まる。
- 肺活量が低下する。
- 尿失禁、便秘になりやすい。
その他に、血流障害からくる臓器の機能障害、脳機能障害、免疫力低下が生じることになります。
正しい姿勢を身につけるために
スマートフォン、パソコン、タブレットを見ない日はないでしょう。若者からお年寄りまで、毎日前屈みになって画面を凝視します。顔が前に出て肩甲骨が移動し、胸郭が縮こまってしまいます。その姿勢に普段から気をつけていないと、頭を突き出したような姿勢で固まってしまいます。その結果、’巻き肩’、’猫背’、’ストレートネック(スマホ首)’になってしまいます。
正しい姿勢とは、立位では、頭の位置が骨盤の真上に乗っていることです。重心が身体の中心を通っていることを意識しましょう。肩を下げて肩甲骨をやや後方に引きます。自分の鼻の位置が胸骨よりも前に出ないこと、横から見ると耳の位置が肩のラインの上にあることを確認しましょう。おなか周りをしっかりと固めることが重要で、へそをなるべく脊椎に近づけるように、おなかをやや引っ込めるような姿勢を作ります。
さらに上半身、体幹、下半身の筋肉は姿勢を維持する上で重要な筋肉ですので、意識的に鍛えていきましょう。正しい姿勢を維持して、身体の中心部を支える筋肉を鍛えて、体調と若々しさを取り戻していきましょう!💪