上のラウンドアップ(ラウンドアップ・マックスロードのHPより)はホームセンターなどで当たり前のように戸棚に陳列されており、農業や園芸やご家庭の庭先などで使用されています。そのキャッチフレーズは、より確実に根までしっかり除草!!だとか、土に浸透しても微生物によって分解される成分!だとか、安心して農地にも使える除草剤!などと聞こえの良い言葉を並び立てています。この有効成分はグリホサートと言いますが、ホームセンターで販売されているほとんどの除草剤にはグリホサートが含まれていることが分かりました。この除草剤を扱う企業やある団体などは、発がん性試験をクリアしている、世界中の規制機関から安全性が認められている、など全力で除草剤を肯定しているように見受けられます。ラウンドアップの毒性を調べた論文の中には、発がん性と関連がある、またはないといった論文がともに存在しており、確実なことは言えないです。しかし、バイオ化学メーカーが製造した天然に存在しない有機リン系農薬は、環境破壊が甚大であり、その他さまざまな健康に対する悪影響がありますので、基本的に排除していくべきだと考えています。
除草剤が撒かれた農地、撒かれていない農地にはこれほどの違いがあります!
慣行農法とは、普段から習慣として行なっている農業、法律に則って農薬や化学肥料を使用し、多くの農家が現在当たり前に行っている農業そのものを指します。有機農法は、「微生物のはたらきがある」ということで、牛・豚・鳥などの糞を発酵させた動物性の堆肥を使用し、それを微生物が分解していくことではじめて植物が吸収できる形になるものです。そして、自然農法とは、堆肥は入れないし耕さない、草は抜いても伏せていく、その草がゆっくり微生物に分解されていつか肥料になるというものです。
左上のグリホサートが撒かれた慣行農法の農地は、トラクターで耕された状態で一夏を越していますが、ほとんど草が生えていません。グリホサートが残存しており、おそらく土壌中の微生物は死滅していますし、虫もほとんど生息していないでしょう。腸で言うと、体に有用な善玉菌が一掃された状態であり、ぺんぺん草も生えない荒廃地と言えるかもしれません。除草剤耐性のある植物の種が化学肥料を用いなければ、生育するのは難しいでしょう。
一方、右上の自然農法の農地は草を刈って、畝の上に戻しますが、根は根こそぎとりませんし、小さい石も除去しません。微生物やミミズ、虫、そしてそれらを食べるモグラなどが共生しています。ここに植えられた野菜の種は、雑草より多少ハンディをもらいますが、厳しい環境の中を互いに競争してたくましく成長します。
除草剤や農薬を生産しているバイオ科学メーカーは、自分たちが食料生産を支えているのだと自負しており、自分たちが特許を持つ除草剤耐性遺伝子組み換え作物(Genetically Modified Organism:GMO)、農薬、除草剤を使用した慣行農法こそが、食料問題を解決すると考えています。確かにそういう側面はあり、自然農法の農地は効率が悪く、収穫量は少ないのが事実です。しかし、両者の畑を実際に経験してみると、前者は無機的で、生命の息吹を感じられず、大地が死んでいるようです。後者では、バッタやてんとう虫などの昆虫が生息するなど多様性に富んでおり、生き生きとした大地であるのがはっきりと分かります。両者から収穫される作物の違いを想像することは、容易でしょう。
Moms Across Americaの運動
アメリカでは母親を中心とする数百万人の市民団体「Moms Across America」がGMO、農薬、除草剤にNOを唱える運動をこれまで展開してきています。子供たちがさまざまなアレルギー疾患を発症したり、自閉症などの精神疾患を患ったり、生活習慣病や癌を発症する人、不妊になる若い夫婦など、さまざまな問題があります。グリホサートの残留検査を実施した結果、水道水・尿・母乳からグリホサートが検出されるケースも相次いだとのことです。
Moms Across AmericaのHPより
https://www.momsacrossamerica.com/
https://www.momsacrossamerica.com/movies_about_gmos (ムービー)
この動きはMothers Across the Worldとして、世界中でも展開されています。人々が、子供たちの未来のために、バイオ化学メーカーが生み出すGMO、農薬、除草剤を拒絶し、健康的な食品を要求しているのです。
グリホサートが腸内細菌叢を殺し、そして免疫システムが破壊されるのは明らかです。私たち日本人は、身の回りに溢れるグリホサートの脅威に対して、目をつぶるのではなくて、さまざまな情報を集めて真剣に考えるべきです。グリホサートを擁護している人たちは、「今だけ、金だけ、自分だけ」になっていないか疑いましょう。
ホームセンターの除草剤はほとんどグリホサートが主成分です
ホームセンターの戸棚には有名なラウンドアップの他にも、種々の商品名の除草剤が陳列されていますが、その有効成分はほとんどがグリホサート(遅効性、根まで枯らす)であったり、グリホシネート(速効性、根は枯らし切らない)です。グリホサートはベトナム戦争で熱帯のジャングルの木々を枯らした枯葉剤と同じ成分であり、それらはベトナム兵や民間人、アメリカ兵に深刻な健康被害をもたらしました。
このような事実を知ると、除草剤を使用するという選択肢は無くなるのではないでしょうか!?
正しい情報を集めて、できることから行動していきましょう!
グリホサートやGMOに対しては、それを全力で擁護するグローバルバイオ化学メーカーや関連する利権団体と、それを全力で否定するMoms Across AmericaやMothers Across the Worldといった全世界に広がる市民の声があります。バイオ化学メーカーはグローバル製薬企業と同一だという側面も見逃せません(グリホサートを開発したモンサント社は2018年にバイエル社に買収されています)。つまり、人類 の食糧需要を支えるという大義名分のもと、自分たちの会社で作ったGMO、農薬、除草剤で人々を不健康にした上で、高価な薬剤を売りつけて貧しい人から搾取している、というのが実態です。
そして、グローバル企業は世界中のメディアのスポンサーでもあり、研究機関に多額の寄付をしているため、正しい情報が伝わらなかったり、科学も歪められたりします。この点についても私たちは情報リテラシーを高める必要があります。もはや自分たちは知らないでは済まされません。知らない間に、一部の強欲な人たちによって私たちの心身の健康は蝕まれ、幸福が奪われることになります。
もちろん、今すぐに除草剤をすべて破棄して、自然農法を実施しましょうというのは不可能です。多くの人が農業に従事する必要が出てきます。しかし、意識を高めて、農家の人たちが徐々に有機農法を実施していくとか、皆が家庭菜園を始めて自分自身で健康的な野菜を作ってみるとか、近所で農地を借りて自分たちで食糧生産にも従事することが必要でしょう。
健康に良い食糧は値段が高くて当然です。そういうものに価値を見出す意識を皆で共有することが大事です。医療費は使わない代わりに、食糧には金をかける、そういうことが戦前では当たり前だったでしょう。そうすれば、都会に人が集中することもなくなり、人が戻ってきて地方再生にもつながるでしょう。