保存料、甘味料、香料、着色料などの添加物は発癌性のリスクあり!?

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主な死因別にみた死亡率(人口10万対)の年次推移
(出典:厚生労働省「令和3年(2021)人口動態統計月報年計(概数)の概況」

 これは厚生労働省が発表した死因別に見た死亡率ですが、2021年の死因の順位は第1位「悪性新生物(腫瘍)」、第2位「心疾患(高血圧性を除く)」、第3位「老衰」,第4位「脳血管疾患」、第5位「肺炎」でした。戦後の時期は結核、脳血管疾患、肺炎、老衰が死因として多かったのですが、悪性新生物、つまり癌の死亡率が右肩上がりに上昇し、この傾向は今後もさらに続くことが分かります。国立がん研究センターの報告によりますと、日本人の2人に1人が生涯で癌になるとか、日本人の3人に1人は癌で亡くなるとされています。

 また、日本は先進国の中で唯一癌の死亡率が増加している国です。この70年間で一貫して癌の死亡率が増加している、そして唯一日本だけが今だに癌の死亡率が上昇している原因は何か?考えました。

この70年間の変化、そして日本と外国の違いは?

 衛生面や栄養面、医療環境は劇的に改善しており、乳幼児死亡率も劇的に減少したこともあって、日本人の平均寿命は右肩上がりに伸びました。

 一方、戦後すぐの日本は農業人口の約1600万人を始め、肉体労働をしていた人が多かったと思われますが、その後サラリーマンが増加し、仕事の形態がオフィスワーク主体となったため、日本人の運動量は劇的に減少しています。また、睡眠に関して言うと、以前は電気も暗かったでしょうし、テレビやスマホなどのない時代に比べると、現在は日本人の睡眠の質・量ともに悪化しているのではないかと想像できます。

 そして、日本人がこの70年間で一番大きく変わったのは、食事の内容です。昔はお米、味噌汁、野菜、焼き魚、納豆など、つまり和食を食べていました。その後、食生活の欧米化により、パンやめん類などの小麦粉、砂糖、肉類とその加工品、乳製品をたくさん摂取するようになりました。そして、食品企業が提供するインスタント食品、冷凍食品などの加工食品が大量に出回るようになりました。

 また、1970年代頃からコンビニが登場したことにより、多くの人がパンや加工されてパッケージされた食品を大量摂取するようになりました。これらの加工食品は食中毒対策や、消費期限を伸ばすために、大量の食品添加物が加えられており、添加物が含まれていない食品を探すのが困難なほどです。

 欧米人はもともとパンや肉や乳製品を摂取していますが、日本との大きな違いは国によって認可されている食品添加物の種類です。アメリカはEU諸国と比較すると多いのですが、日本はさらに桁違いに多いという事実があるようです。

食品添加物の具体例

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 これらの食品添加物と副作用の関連性は、根拠が低いと言われるかもしれません。大手の調味料メーカーなどは、厚生労働省が法律で安全性と有効性を認めたものであると言い切っています。そればかりか、食品添加物は人間の知恵から生まれたものだとか、食生活を豊かにしていると謳っています。しかし、本当に現代の日本人の食生活は豊かになっていると言えるでしょうか?食品添加物は白砂糖同様に中毒性がありますし、自分で手間暇かけずに添加物まみれの加工食品を大量に摂取していては、丁寧さを欠いて食事が雑になり、日本人が昔は大事にしていた食事に感謝する気持ちも芽生えないでしょう。

加工食品と癌発生率を調べた疫学研究

 加工食品の消費と癌の発生率の関連を評価した研究はこれまで動物実験が多かったようですが、人での前向きな疫学研究が2018年フランスから発表されているので紹介したいと思います。結果は、18歳以上(年齢中央値42.8歳)の104980人の参加者を対象とした中で、3300種類の食品の情報を収集し、中央値5年間の追跡期間中、食事中の超加工食品の割合が10%増加すると、全がんおよび乳がんのリスクが10%以上有意に増加することが明らかになりました。

 加工食品と癌のリスクとの関連を評価した前向き疫学研究は過去にはないとのことですが、いくつかの他の研究では、超加工食品は肥満、高血圧、脂質代謝異常などの心臓代謝障害のリスク増加に寄与することが示唆されているようです。

 超加工食品の消費の急速な増加は、がんおよびその他の非伝染性疾患を増大させる可能性がある。したがって、製品の再製造、課税、超加工製品の販売制限、新鮮な食品または最小限の加工を施した食品の普及を目標とした政策行動は、がんの一次予防に貢献する可能性がある。すでにいくつかの国では、予防原則の名の下に、公式の栄養勧告にこの点を導入している、ということです。

T. Fiolet et al., Consumption of ultra-processed foods and cancer risk: results from NutriNet-Santé prospective cohort. BMJ 360, k322 (2018).

僕からの提案

 運動や睡眠が悪化しているものの、戦後から現代に至るまで、日本人の食事の変化は非常に大きいです。また、欧米と比較すると日本ははるかに食品添加物の種類、量が多いです。まだエビデンスのある研究が少ないとは言え、ヒトでの疫学研究も出てきており、日本人が小麦、砂糖、肉、乳製品などの摂取が増加して食の欧米化が進行したこととともに、食品添加物を大量に摂取していることと、発癌の関係性は疑うのが自然でしょう。

 もちろんリスクを考えて、今すぐ食品添加物をゼロにすることは現実的ではありません。しかし、人の解毒作用(デトックス)の能力を超えて添加物を摂取することは発癌を含む何らかの病気を引き起こしたり、老化を促進する可能性が高いので、できるだけ避けた方が良いでしょう。

 そこで、以下のことを提案します。

  1. 食品添加物の種類を知ること
  2. 食品のラベルを見ること(スラッシュ/の前は原材料、スラッシュ/の後は添加物を意味します)
  3. 添加物を多く含む食品はなるべく避けること

 もちろん例外もあります(ワインに含まれる亜硫酸塩など)。さまざまな情報に触れて、思い込まないことも重要ですし、バランス感覚が大事です。

 自分自身では、食品添加物を避けていることで(小麦、砂糖、加工肉、乳製品もなるべく避けています)、体調が良かったり、皮膚の状態が良かったり、免疫が強化されているのを実感しています。ご自身の身体と対話しながら、ぜひ試してみてください!🤗