
📚図解でよくわかる 菌ちゃん農法(微生物の力だけで奇跡の野菜づくり)
著者:吉田俊道
発売日:2024年1月27日
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超オススメ 🎉🌟

著者は長崎県佐世保市の里山にある”菌ちゃんファーム”の約3ヘクタール(* 東京ドームは4.6ヘクタール)の農地で、”菌ちゃん農法”にて健康で元気な野菜を育てられています。無農薬で化学肥料どころか有機肥料も使用していません。その秘密は”土”にあり。土づくりに使うのは雑草や落ち葉や竹や木といったどこにでもある有機物。微生物(菌ちゃん)がその有機物を食べて、ふかふかの最高の土にします。菌ちゃん農法で育った元気野菜は、ビタミン、ミネラル、ファイトケミカルが豊富で甘みが強く、野菜嫌いな子供も「味がちがうよ!」と手を伸ばすといいます。
たくさんの菌が働いて、土づくりが進んだ畑では、野菜はぐんぐんと健康に育ち、農薬に頼らなくても虫たちの被害はほとんどなくなるという。肥料の主要成分である窒素ではなく、炭素成分が多い資材を使って菌をふやして土づくりを行うというのが、菌ちゃん農法の基本的な考え方です。
- 元気野菜は一つ一つの細胞が頑強。さらに自分でさまざまな匂い物質や抗酸化物質など虫が分解しにくい物質をつくって防御している。元気野菜は人間が食べて、おいしいと感じる(胃液のペプシンは「虫が分解しにくい有機物」も消化できる)。
- 元気のない野菜は細胞も軟弱で、抵抗力も弱いため、虫たちにとってはとても食べやすい。虫は不健康で弱った野菜を見つけては、食べて分解し、土に戻そうとする。
- 菌による分解が、人間や作物に有害な場合を「腐敗」、有用な場合を「発酵」と呼ぶ。ほとんどの植物は「発酵環境」で健全に育つ。元気な野菜が育つには、腐敗に傾かない土づくりが必要である。
- 糸状菌は酸素を好み(好気性)、ほかの菌が分解しにくい炭素分を多く含んだ有機物を分解するのが得意。糸状菌は菌糸を伸ばして草にたどり着くと、時間をかけて腐りにくい有機物(かたい草など)をゆっくり分解し、その養分やエネルギーを効率よく野菜に与えられる。糸状菌が地中に広がり、土が耕されると、野菜と相性の良い菌が根に侵入して、共生関係を結ぶ。糸状菌を中心としたネットワークが存在することで、窒素固定細菌を含むほかの菌たちも定着しやすい。畑の土も、人間の腸と同様で、役に立つ特定の菌が多いよりも、種類が多様である方が健康には大切である。
- 糸状菌は粘着性のある菌糸を伸ばし、土の粒子をくっつけて土を団粒化。団粒と団粒の間に空気の通り道をつくり、さらに土の深くまで伸びる。完熟堆肥を施して土づくりをするよりもはるかに速く菌が土の中でふえ、畑をどんどんふかふかの「発酵型」の土に変えていく。
- 病原菌は虫と同じように、弱った野菜にとりついて、分解して、土に還そうとする。病原菌の多くは、枯れた植物体の中や土壌中でも生きていて、連作障害が起こる。糸状菌の力で、多様な菌がすみよい環境になれば、病原菌がはびこるような状況を未然に防げる。野菜は常に有用な菌ちゃんに取り巻かれているので、抵抗力も強く、病気や連作障害を避けられる。
- 窒素分が少なく、炭素分が多い有機物が糸状菌の餌になる。共通する特徴は、戸外に放置しても腐敗しにくく、分解に時間がかかる。刈り草、籾殻、タケ、落ち葉、木、繊維くずなど。生ごみ、米ぬか、家畜ふんは窒素分が多く、向かない。
- 人間の体の材料やエネルギー源となる三大栄養素に、微量元素のビタミン、ミネラルを加えたのが五大栄養素。その後、分解されにくい食物繊維にも重要な働きが認められ、六大栄養素と呼ばれる。近年、病気や老化の予防の観点から抗酸化作用が注目され、ファイトケミカル(ポリフェノール、アントシアニン、イソフラボン、カロテノイドなど)が第7の栄養素と呼ばれる。
- 元気野菜は紫外線や害虫や病原菌などの攻撃から身を守るために、抗酸化作用のあるさまざまなファイトケミカルを多くつくり出す。
菌ちゃん農法では好気性の糸状菌を増やすための土づくりを行います。水捌けを良くする高い畝を立て、糸状菌の餌になる有機物をのせ、土をかぶせてなじませます。マルチで覆って乾燥を防ぎ、適度な湿り気を保ちます。畑の状態に応じて、餌の有機物を補充しますが、丸太を埋め込むと5〜10年は補充なしで野菜が育てられると予想されています。プランターでも始められます。
菌ちゃん農法ではマルチを使用するため、草抜きは不要です。一方、自然農法では雑草は野菜の成長を妨げない程度に、短く刈り込みます。好気性の有用な糸状菌に着目して、それを増やすことに注力し、最終的に多様な菌と野菜が共生する環境をつくる菌ちゃん農法と、最初から野菜と雑草と多様な菌の共生環境を生かしている自然農法と、プロセスは異なりますが、どちらも生物多様性を生かした循環型の農業です。家庭菜園であれば、バランスを崩さないように両者の良いとこどりで行うのも良いかなと思いました 👩🌾
📚 ルポ 食が壊れる 私たちは何を食べさせられるのか?
著者:堤未果
発売日:2022年12月16日
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この本は前半に食をめぐる世界事情の裏で起きていることを解説して危機感を煽りつつ、後半では土壌中の微生物に着目し、世界各地で実践されつつある循環再生型農業について紹介しており、希望が述べられています。
牛が地球環境を悪化させる原因だと決めつけ、環境と健康を破壊する畜産を廃止せよ、という動きが世界中で起こっています。そして、タンパク質危機を煽られた各国はアグリビジネスに参入し、多国籍企業と億万長者の投資家が推進する輸出至上主義、化学肥料ファースト、遺伝子組み換えに特許付き種子、バイオ食品にデジタル農業を受け入れようとしているのです。遺伝子組み換え作物による人工肉バーガー、遺伝子組み換えサーモン、ゲノム編集魚、培養母乳、ワクチンレタス・・・ゲノム編集から食べるワクチンまで、このようなフードテックの新潮流が、安全性試験が不十分のまま、気候変動対策とか動物愛護とかSDGsの名の下に市民権を獲得しようとしているのです。私たちの食べ物が知らない間にこのようなものに入れ替わっても良いのでしょうか!?
土の中と腸の中は一緒です。健康な植物が病気になりにくいのは、根っこにいる”微生物”が豊富で丈夫だからです。そして、健康な植物を食べている人間は腸内環境も健康です。SDGsの目標にはなぜか”土壌”という言葉が直接出てきませんが、土壌の改善なしに、持続可能な開発目標の達成は不可能です。カバークロップや輪作をはじめ、化学肥料不使用、不耕起栽培、放牧などによって微生物が増加し、土壌の蘇生や水質改善、多様な生態系の回復が果たせます。土も野菜も子どもたちも、”菌”で育てば皆元気になるのです。
一体「食」とは、グローバルな世界の中で、安くて便利で早くて手軽でいつでもたっぷり手に入るのが当たり前の、生命の循環から切り離されたモノなのか?
私たちの食生活、食事文化は今非常に雑になっています。全てが循環するこの世界で自然や季節を感じながら、感謝し頂戴する、そんな食の文明を取り戻したいと思う一冊です。
📚 ここまでわかった自然栽培
著者:杉山修一
発売日:2022年3月18日
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肥料や農薬を使わない自然栽培の技術について、データも交えて詳細に書かれています。
植物は成長のために、窒素、リン、カリウムなどの栄養塩を必要とする。持続的な作物生産のためには、外部に持ち出された栄養塩の同量かそれ以上を農地に補給する必要がある、と考えられてきた。一方、日本各地に30年以上も無肥料栽培を継続していながら、慣行栽培に匹敵する収量を上げている農家が少なからず存在している。「土壌は、外部に持ち出された栄養塩を自律的に供給する能力を持つ、微生物を中心とする多様な生物が集まった生態系である」とする新しい考え方が必要である。
- 土壌に低窒素・高炭素条件を作ることが土壌細菌による生物的窒素固定反応を活性化させ、土壌の自律的な窒素供給システムを確立する上で必要になる。
- 貯蔵量から見て、土壌中のリンやカリウムがすぐに枯渇する心配はない。しかし、農地から持ち出す有機物を最小限に抑え、収穫後に農地に戻すことは、自然栽培におけるリンやカリウムの長期供給力を維持するための必要な管理である。
- 土壌有機物(炭素)の多いことが微生物の活動を活発化し、有機物に含まれる窒素の無機化と窒素の生物的固定を通じて、土壌中の無機窒素の供給を増やすことで、土壌の生産性が向上する。
- 窒素の有機化を抑えて効率的に無機化窒素を供給する微生物や窒素固定を行う細菌は、無施肥のような窒素欠乏条件を続けることで自然に増えてくる。
- 有機物の投入は土壌炭素を直接増加させる効果を、不耕起栽培は土壌炭素の減少を抑える効果を持つので、両方を組み合わせることで土壌炭素の増加にとって補完的な効果がある。
- 被覆作物としてのマメ科による窒素固定は土壌の窒素源を増やし、土壌の窒素固定細菌の増加も見込める。
- 自然栽培に向いた土地は、①日当たりがよい ②風通しがよい ③水はけがよい の三条件が揃っていることである。
- 畑作での土壌改良に必要な土壌炭素の増加やリン酸欠乏の解消などは、問題解決に時間がかかるため、移行期間として炭素割合の高い完熟堆肥やリン酸含有量増加のためのリン酸資材などを投入する有機栽培を挟むことは効果的である。一度土壌ができると、その後は被覆作物や作物残渣の投入だけで作物生産が可能になる。
- 慣行栽培の普及により、農地は高窒素環境に適応した微生物のニッチを拡大し、窒素要求性の高い土壌細菌や病原菌、腐敗菌が優先しやすい環境を作ってきた。農薬が欠かせないのはこのような理由からだ。未熟堆肥を大量に使う有機栽培でも状況は同じだ。
- 数種類の作物だけが栽培されている多様性の低い農地は、昆虫や微生物の多様性も減り、生物的防除も難しくなる。植生の多様性は農地全体の生物多様性の基礎となり、生物的防除を成功させるために必要な環境条件となる。(e.g. 花の蜜と寄生蜂)
- 一つの農地内での多様性より、農地や林、草地などが集まって構成される景観レベルの複雑性や多様さが、生物的防除を有効に機能させる。
- 土壌から病気の感染源を排除することは不可能である。輪作は、特定の病原菌が土壌中で発病密度を超えて増えることを抑制する、信頼できる病害防除法である。
化学肥料や堆肥で栄養過多になった作物は、窒素要求性の高い微生物が増えて微生物の多様性を失い、病原菌や害虫に対する耐性も弱くなってしまう。甘味や旨味といった面でおいしさも損なう。作物もヒトも同じである‼️🌾
📚 UNSTOPPABLE(あきらめない)愛するこどもの「健康」を取り戻し、アメリカの「食」を動かした母親たちの奇跡
著者:Zen Honeycutt ゼン ハニーカット
発売日:2019年10月15日
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3人の息子を持つごく普通の母親、ゼン・ハニーカットさんが、子供に起きたアレルギーをきっかけに、グリホサート(ラウンドアップ)という除草剤や遺伝子組み換え作物(GMO Genetically Modified Organism)の悪影響について調査する。
除草剤をかけても枯れない除草剤耐性遺伝子組み換え作物は、人類がこれまで出会ったことのないような新種のタンパク質を含み、中にはそれを消化できない人がいる。そして、大量の除草剤が私たちの土壌や水質を汚染し、非遺伝子組み換え作物を汚染する。
グリホサートは腸内細菌叢を乱したり、内分泌撹乱物質(環境ホルモン)であったり、肝臓の解毒作用を阻害したりして、免疫システムを破壊する。その結果、各種アレルギー、自閉症などの精神病、生活習慣病、癌などあらゆる病気の原因となり、不妊症の原因となる。
尿、水道水、母乳などからグリホサートが検出されたとのことである。ゼンさんは母親たちのコミュニティ Moms Across Americaを立ち上げ、子供たちの健康と食を取り戻すために、アグロバイオ企業「モンサント社」に立ち向かわれたのである。
世界ではグリホサートの使用が禁止されているのに、今だに日本では平然とホームセンターに陳列されている。多くの日本人がこの異常事態に気づいて、この状況をなんとか打開したいと思います!😤
Moms Across Americaのおすすめムービー
📚 素朴な疑問–食品の裏側から:くらしの中の添加物・調味料入門
著者:安部司
発売日:2017年6月1日
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”添加物の神様”による食生活の裏話が満載です🤩
- 「手首の運動」のススメ
ラベルを見て、「聞いたこともない名前があったけど、あれは何だろ?」「なんでこの値段で食品ができるんだろ?」などといった素朴な疑問を持ちましょう。 - とり放題の「ミルク」コーヒーフレッシュの中身は?
名称は「植物性油脂クリーミング食品」。9割は水、1割の食物油、乳化剤、増粘多糖類、香料、着色料。 - カロリーハーフのマヨネーズ?
マヨネーズは卵黄と食塩、食酢をよく混ぜてから、少しずつ油を混ぜ込んで作ります。油を半分にして、糊料(増粘安定剤)/加工でんぷん/酢から酸味料へ一部置き換え/うまみ調味料やたん白加水分解物/着色料を用いて、「サラダクリーミードレッシング」や「半固形状ドレッシング」へ。 - トランス脂肪酸規制フリーの日本
マーガリンは、常温でも固形であることが条件。そこでパーム油、大豆油、コーン油などを化学反応(水素ガス添加)させて固形にします。この製造過程で生じるのがトランス脂肪酸で、欧米では心臓疾患の原因になるとして厳しい制限が設けられています。 - 甘いのにノンカロリー 自然界にはない人工甘味料
サイダーは炭酸水に約1割の甘いシロップ(トウモロコシでんぷんを原料にしたブドウ糖果糖液糖)を入れて、クエン酸を少し加えます。500mlペッドボトルには砂糖換算で50〜60g含まれます。カロリーを減らすために自然界にはないアスパルテーム/アセスルファムK /スクラロースに置き換えればよい。 - ペットボトルのお茶 変色しないのはなぜ?
ビタミンC(V.Cまたはアスコルビン酸という表記も)が先に酸化して壊れて、お茶の酸化や変色を防いでいる。本来の機能をそのまま持っているかどうかは「?」です。 - とりすぎ三兄弟 塩分/糖分/油分
食品添加物(うまみ調味料やエキス類など)を駆使すると、意外なほどの量が、オイシク飲めたり、食べたりできてしまう。食塩量は栄養成分表示の「ナトリウム◯g」を2.5倍(正確には2.54倍)すれば、計算できる。清涼飲料水はデンプンや繊維質を加えることはまずないので、炭水化物量=糖類の量。カップ麺の脂質の量が多いのは「油揚げめん」だから。
📚 食品の裏側2 実態編:やっぱり大好き食品添加物
著者:安部司
発売日:2014年3月28日
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超オススメ 🎉🌟

日本における添加物事情は年々深刻化しています。食品添加物が大量に使われるのは、メーカーだけに責任があるわけではなく、消費者である私たちが「安い、簡単、便利、きれい、美味しい」を追い求めた結果です。実際に消費者が買うものの優先順位は、この5つに集約されるといいます。
添加物の安全性は厚生労働省が「安全性試験」によって認めていますが、それは条件付きの安全です。すなわち、動物実験のみ、単品(一物質)のみ、安全性試験を行なった時代の検査精度での判断、なのです。添加物そのもののリスクに加え、塩分・糖分・油分を摂りすぎてしまうこと、食べ物の尊さを忘れてしまう弊害もあります。You are what you eat.(あなたはあなたが食べているものでつくられている)という英語表現があります。子どもたちの健康を守るため、教育の前に食育に取り組まなければなりません。
「食」の欧米化、さらにはコンビニ食品など、「安い、簡単、便利、きれい、美味しい」を追求した裏には海外にはない超加工食品や食品添加物が増え続けている事実があります。私たち日本人が間違った食生活を改善しない限り、病気(食源病)とともに日本人は滅びていくかもしれないのです❗️😆
📚 子どもが育つ玄米和食 高取保育園のいのちの食育
著者:西福江 高取保育園
発売日:2012年1月17日
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毎日玄米と納豆を中心に昔ながらの和食を提供し、「本物志向」をゼロ歳児から教えている福岡の高取保育園のお話です。
毎日玄米を炊いて味噌汁をつくり、豆と小魚を中心にたんぱく質をとり、食生活を中心に据えてきちんとした生活習慣を教えている。毎日飲んでいる味噌汁のお味噌を、園児たちが自ら毎月100キロつくったり、梅干しやらっきょう、たくあん、高菜漬けなど、年がら年中、季節の旬のもので、子どもたちが保存食をつくっているそうです。バケツに植えた稲を五ヶ月育てて、稲穂が実るところを観察したり、パンも竹の棒を使って自分たちで焼いてみたり。プラスチックの器ではなく、本物の瀬戸物で食べさせる。それを子どもが自分たちで配膳したり洗ったりする。そうして、お茶碗やお皿を扱うときは注意深く両手でしっかり持つ習慣がつくようになるそうです。
日本人は野菜や米などを消化しやすい消化器官を持っていて、肉や乳製品などの動物性たんぱく質はあまり消化するのが得意ではありません。だから、日本人は日本食を食べた方がいいといえるでしょう。また外食や買ってきた調理済みのものには、たいてい保存料や甘味料、石油からつくった色素など人工的な添加物が入っています。二人に一人はがんになるとか、小さい赤ちゃんにアレルギーが出てくる原因は、もとをただせばよくない食べ物の「とりすぎ・食べ過ぎ」が原因でしょう。また、戦前はアトピーやアレルギーの子はほとんどいなかった。アレルギーを持った子や多動性の子が増えたのは戦後のことだそうです。やはり戦後の食が変わったことと深く関係しているでしょう。玄米を食べている子は人の目を見て話をじっと聞けるし、視線がフラフラしないそうです。玄米食にすると気持ちよく便が出て、元気になったことが目にみえてわかるようです。食材に卵と牛乳を使わず、玄米和食を続けていくと、だんだんアレルゲンとなる食材を除去しなくてもよくなる子どもたちが増えていくとのこと。子どもなりにしっかり噛むことができるようになると、あごの発達が促され、歯並びや姿勢までもがよくなります。
小さいときから、いい習慣を身につけて育つことが、その子の一生涯の運命を左右する。赤ちゃんのときから砂遊び、泥んこ遊びを当たり前にしたり、お米を研いだり、雑巾掛けをしたり。毎週土曜日は、園児たちが自分で給食をつくったり。一緒に食事をつくる体験をすることで、子どもは心が豊かになるし、食に対する意識もしっかりします。一年中半袖、半ズボン、裸足で運動することで、足の五本指の先まで神経が発達し、基礎体力がついて暑さ寒さにも強い子になる。四六時中構ってばかりいるのではなく、見て見ぬふりをしながらもしっかり見ていて、自然と子ども自身が正しいほうを取捨選択できるように持っていく。大人が思うほど子どもは無力な存在ではないとのことです。甘やかすよりも子どもの能力を信じることのほうが大事であると。
教育の前に食育が大事ですね。手作りのものを食べることで食に感謝する心も育まれるでしょう。そして、子どもが一人で自立していけるようにあたたかく見守ることも大切です✌️👶
📚 奇跡のリンゴ ー 「絶対不可能」を覆した農家 木村秋則の記録
著者:石川拓治
発売日:2011年4月12日
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農薬を使わずにリンゴを育てる。少なくともその時代、実現は100%不可能と考えられていた夢である。その実現に向けて苦闘してきた木村秋則さんは、ガリレオやライト兄弟などに並ぶパイオニアと呼べるだろう。
バカになればいいんだよ。ひとつのものに狂えば、いつか必ず答えに巡り合うことができるんだよ、と木村さんは言う。
畑が雪に埋もれる季節になると、本を読み耽って農業の勉強をした。偶然目にしたのは福岡正信さんの『自然農法』だ。農薬を使わないでリンゴを作る、そんなことは考えもしなかった。そこから彼の挑戦は始まった。
病気が蔓延し、害虫が異常発生する。農薬を使わない限り、その先に待っているのは、リンゴ畑の壊滅という結論しかあり得ない。木村さんが経験したことは、すでに100年前の明治の先人達が経験していたことでもあった。何十年という苦労の末に、ようやく辿り着いた解決方法が農薬だった。木村さんはその結論を、たった一人で覆そうとした!
すべてのリンゴ畑を無農薬にしてから三年が過ぎ、四年目になっても、リンゴの花はまったく咲く気配をみせず、五年目に入ってもリンゴ畑の状態は悪化するばかりであった。家族が困窮し、親戚やコミュニティからも村八分に近い扱いを受けた。「もう諦めた方がいいかな」と弱音を吐いたとき、小学生の長女が「そんなの嫌だ。なんのために、私たちはこんなに貧乏してるの?」と言った。父親の夢は、娘の夢になっていたのだ。
しかし、六年目になっても有効な方法は見つからず、800本のリンゴの木が衰弱して、死にかけていた。そして、リンゴの木と同じように、木村さんも追い詰められていた。死を決意して登っていった岩木山の山中で、リンゴの木の幻を見る。そして気付く。山の中では誰も農薬を散布していないのに、木々の葉は青々と繁っている。雑草が生え放題で、地面は足が沈むくらいふかふかで、土がまったくの別物だったのだ。
自然の中に、孤立して生きている命はないのだと思った。病気や虫のせいで、リンゴの木が弱ってしまったのだとばかり思い、堆肥を施し、雑草を刈って、農薬のかわりに虫や病気を殺してくれる物質を探していた。そうではない。リンゴの木が弱っていたから、虫や病気が大発生したのだ。自然の強さを失っていたから、リンゴの木はあれほどまでに苦しめられたのだ。
化学肥料であれ堆肥であれ、人間が施す栄養分は一時的にしか効かない。リンゴの木に余分な栄養を与えると、甘い菓子を好き放題に与えられた子供のように、必要な養分を求めて土中に根を張る努力をしなくなる。自然の抵抗力を失い、農薬なしには、害虫や病気に勝つことが出来なくなる。畑の土と山の土は、そもそも温度からして違っていた。山の土の温度はほとんど変わらないのに、畑の土は、10センチ掘るだけで極端に温度が低くなるのだ。山の土が温かいのは、微生物がいて、活発に活動しているからだ。
森の土壌の豊かさに気づいて雑草を生やすようになってから、リンゴの木はゆっくりと健康を回復した。畑の地下ではリンゴの根が順調に伸びて、グラグラと揺れる木はめっきり少なくなった。雑草も虫も、種類が圧倒的に増えていた。土壌や、幹や葉の表面に棲息する菌類まで含めれば、畑の生き物の種類は何千種にも達したに違いない。
そして、何年も花を咲かせなかったリンゴの木々が、九年ぶりにいっせいに花を咲かせていた!木村さんとリンゴの関係が、その日を境に変わった!
これは、「絶対不可能」を覆し、無肥料無農薬でリンゴ栽培に成功した秋山さんの人生を描いた感動のドラマです😂✨
📚 「安心な食品」の見分け方 どっちがいいか、徹底ガイド
著者:安部司
発売日:2009年12月1日
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超オススメ 🎉🌟

食もグローバル化が進み、日本の伝統的な食品でも原料は外国産で、それを日本や別の国で加工することが当たり前になっています。目の前にある食べ物が、どこでどのように作られ、どうやって食卓に届いたのかが、とても分かりにくくなっています。食べ物を「作る人」「売る人」「食べる人」の繋がりが、希薄になっているのです。
そして添加物なしの食生活など、今の時代、ありえません。”ひふみの原則”(「ひ」非伝統的なもの、「ふ」不自然なもの、「み」未経験のもの、は食べない)に従って食品を選ぶようにすれば、おのずと添加物を摂る量を減らすことができます。本書は、具体的に「安心な食品」を見分ける基準を示した、”食の目利き”になる実践本であり、”大人の食育”の本です。
安全な食品選びの7法則
- 素朴な疑問を持つ
「なぜ無果汁なのにオレンジ色なの?」「なぜ果汁1%なのに、レモン100個分のビタミンCが入ってるの?」「みりん風の風って何?」「どうしてカット野菜はしなびないの?」「なぜ、こんなに安いの?」 - 加工食品の裏面をチェック(手首の運動)
「化学調味料無添加」「合成着色料不使用」「保存料は使用していません」とか、いかにも体によさそうな表示がしていても、裏面をチェックすると、他の添加物が何種類も入っていたり、天然由来の着色料を使っていたり、保存料の代わりに保存性を高める添加物が入っていたり、表示にはいろんなカラクリがあります。食品の表側の宣伝文句やイメージを鵜呑みにして買ってしまうのではなく、必ず手首をくるりと返して裏面チェックしましょう! - 台所にないもの=食品添加物
日本で認められている食品添加物は現在1500種類近くあり、1500も覚えるのは無理。「台所にないもの」が多いものは避けるようにすれば、おのずと添加物の摂取量も減らすことができます。 - ”隠れ添加物”にも注意する
「サプリメント(栄養補助剤)」(食品の栄養強化目的で使用されるビタミン類、ミネラル類、アミノ酸類)「加工助剤」(食品の完成前に除去されたり、最終的に食品に含まれる成分と同じになったり、最終的に食品中にごくわずかな量しか存在しないもの)「キャリーオーバー」(原材料からそのまま持ち越される添加物)「バラ売り」(店頭でバラ売りする食品、包装されていない食品)「包装が小さいもの」(一口サイズの菓子、コーヒーフレッシュなど)「小分け」(店内で小分けしたり、詰め合わせて販売するもの)「一括表示」(同じ用途の添加物をグループ名で表示。調味料(アミノ酸等)、pH調整剤、香料、乳化剤、イーストフードなど) - 加工度の低い食品を選ぶ
手間を取るか、便利さを取るか。仕事が忙しくて今週は加工食品が多くなってしまったら、その分週末はきちんと手作りするなど、1週間スパンで食事内容を調整するのも手。 - どこで誰が作ったのかに関心を持つ
出来合いのお惣菜などは、添加物を何種類も使っていてもバラ売りだと表示されません。居酒屋チェーンやファミリーレストランなどで、体によさそうな和食メニューも、ほとんど外国で作っています。農産物、畜産物、水産物といった生鮮食品は原産地表示が義務づけられています。加工食品でも包装されて生鮮食品に近いものは、原産地表示が義務つけられています。裏面チェック! - 食品についているマークに注目する
JASマーク(ベーコンハム類、ソーセージ、しょうゆなど、特級・上級・標準の等級に分けられている食品もある)、生産情報公表JASマーク(生産者が飼料や動物用医薬品の投与など生産情報を正確に記録、保管、公表していることを認定された食品につけられる)、有機JASマーク(種まきまたは植え付け前2年以上、禁止されている農薬や化学肥料を使用しない田畑で生産し、遺伝子組み換え由来の種苗は使用せず、農薬・化学肥料を使用しないで栽培した農産物。有機畜産物、有機加工食品もある。)、特定JASマーク(特色ある作り方や原材料など、生産方法に着目して基準を定めた規格。熟成ハムなど)、特定保健用食品(通称:トクホ 消費者庁から許可を受けて「お腹の調子を整える」などの保健の効果を表示することのできる食品)など。JASマークは添加物の有無とは関係なく、あくまで食品選びの一つの物差しである。
個別の食品についても、具体的なチェックポイントがまとまっているので、安心な食品を選ぶ上できっと役に立ちます。繰り返し目を通して、加工食品の知識を深めていきましょう✊
📚 食品の裏側ーみんな大好きな食品添加物
著者:安部司
発売日:2005年10月1日
おすすめ度:
超オススメ 🎉🌟

本書は食品添加物の元トップセールスマン(食品添加物の神様と呼ばれた!)による痛烈な内部告発書です。机上の研究だけでなく、食品添加物の現場を知り尽くした著者だからこそ、食品の「裏側」がわかりやすく解説されています。どんな添加物がどの食品にどれほど使われているのか、情報を知ることによって私たち消費者は、よく考えて判断ができると思います。
- 食品添加物とは台所にないもの。調味料(アミノ酸等)、保存料、酸化防止剤、pH調整剤、乳化剤、酸味料など。
- 「明太子」「漬物」「練り物、ハム・ソーセージ」などは添加物を大量に使う加工食品である。
- 添加物の毒性や発ガン性のテストはネズミなどの動物実験で行われる。複数の添加物を同時に摂取した場合の危険性についてはきちんと研究されていない。
- わけのわからない『白い粉』を大量に流し込んで作る現場の人は、決して自分では食べないという。
- 食卓の調味料(しょうゆ、みりん、酒、塩、酢、砂糖)が「ニセモノ」にすりかわっており、子どもたちは「まがいもの」の味を「本物」と思い込んでいる。
- 食品衛生法で「一括表示」が認められている。また、①キャリーオーバー ②加工助剤 ③バラ売り、店内で製造・販売するもの ④パッケージが小さいもの ⑤栄養補助剤 については「表示免除」が認められている。
- うまみのベースはみな同じ ー 「塩」「化学調味料」「たんぱく加水分解物」の3点セット。子どもたちの舌が壊れていきます。
- ブドウ糖果糖液糖はあっという間に吸収されて、血糖値がハネ上がってしまう。ジュースやお菓子に大量に使われている。
- 食品添加物と上手の付き合うには、❶「裏」の表示をよく見て買う ❷加工度の低いものを選ぶ ❸「知って」食べる ❹安いものだけに飛び付かない ❺「素朴な疑問」を持つこと。
食の乱れは食卓の乱れ、家庭の乱れ、社会の乱れ、国の乱れにつながると著者は言います。非常に分かりやすくて、すらすらと読めて、食べ物について考えさせられる本なので、多くの人に読んでもらいたいです🤗👍
📚 自然農法 わら一本の革命
著者:福岡正信
発売日:2004年8月20日
おすすめ度:
超オススメ 🎉🌟

この本は”The One-Straw Revolution: An Introduction to Natural Farming”という英訳や、その他世界中で翻訳本が出版され、高く評価されています。
健全な稲を作る、肥料がいらないような健全な、しかも肥沃な土を作る、田を鋤かなくても、自然に土が肥えるような方法さえとっておけば、そういうものは必要がなかったんです。あらゆる、一切のことが必要でないというような条件を作る農法。こういう農法を、私はずっと追求しつづけてきたわけです。(本文より)
人間が、医者が必要だ、というのも、人間が病弱になる環境を作りだしているから必要になってくるだけのことであって、病気のない人間にとっては、医学も医者も必要でない、というのと同じことです。(本文より)
人間がその知恵と行為でもって、何か悪いことをする、自然を不自然にする。そして、それを懸命に訂正しようとする。そういうことが、農業のみならず、医療、教育、環境、政治、経済、外交などあらゆる分野で行われています。成果が出ればことさらにその成果を強調しますが、次から次とまた新たな問題が生じてきます。結局、なるべく余計な手数をかけないで、シンプルなのが良いのかもしれません。
ある国や企業が土地を大規模に開墾し、農薬と化学肥料を使って食糧を大量生産し、全世界に供給する仕組みを作り続けています。その結果、その土地はどんどんと痩せていきます。一見効率が良いように見えますが、栄養価が低く、健康に悪いものを、さらに保存できるように手を加えて、大規模に輸送するという仕組みは、超不自然であり、地球環境に良いはずがありません。
筆者がすすめするシンプルな自然農法、地産地消、自給自足などが農業や医療のさまざまな問題を解決し、教育にも役立つと思います。手数をかけて、自然に抗おうとするのではなくて、自然と共生することが、これからの私たちにとって大事になってくるのではないかと思いました🤗
📚 農業消滅 農政の失敗がまねく国家存亡の危機
著者:鈴木宣弘
発売日:2021年7月19日
おすすめ度:

- 野菜の種の販売元は日本の種苗会社が主流とはいえ、種採りの9割は外国の畑で行われている。種までさかのぼると、野菜の自給率は8割ではなく8%となってしまう。
- 日本では収穫後に防カビ剤などの農薬をかけるのは禁止だが、アメリカから果物や穀物を船で運ぶ際には農薬をかけないとカビが生えてしまう。
- アメリカはオーストラリアにならい、国内やEU向けはホルモン・フリー化が進み、日本が選択的に「ホルモン牛肉」の仕向先となりつつある。
- アメリカの穀物農家は、日本に送る小麦には、発がん性に加え、腸内細菌を殺してしまうことで、さまざまな疾患を誘発する懸念が指摘されているグリホサートを、麦に直接散布し、枯らして収穫し、輸送するときに日本では収穫後の散布が禁止されている農薬イマザリルなどの防カビ剤を噴霧する。
- いま問題なのは、アメリカからの輸入穀物に残留したグリホサートを、日本人が世界で一番摂取しているという現実である。
- 世界中でグリホサートへの消費者の懸念が高まり、規制が強化されるなかで、日本は逆に規制を緩和しているので、日本での儲けに期待が高まっている。
- そもそもGM食品、ゲノム編集食品、肥育ホルモンなどの長期摂取の人体への影響は「わからない」のである。専門家が「安全でない」という実験結果を出したら研究資金は打ち切られ、学者生命も、命さえも危険にさらされる。
など、消費者が知って声を上げていかなければいけない情報が満載です。
📚 畑仕事の十二ヶ月 暦に学ぶ野菜づくりの知恵
著者:久保田豊和
発売日:2016年1月26日
おすすめ度:

「台所の窓から見えるものを食べるのは、人生の幸せ」「遠くの産地の野菜より、地元で生産された野菜や作り手の顔の見える作物、食物を選ぶほうが安全で美味しい」
この本では、農書(農事暦)から見えてくる自然に寄り添う暮らし、シンプルライフを提案しています。つまり、
⚫︎ 朝は日の出とともに起き、夕日とともに家路に着く
⚫︎ 月の満ち欠けで季節を知る
⚫︎ 旬の野菜と魚を食べる
⚫︎ 多少高くてもよいものを買い、長く大切にする(消費から循環へ)
⚫︎ 晴耕雨読
忙しい毎日の職場の生活から離れて、畑ではのんびりと作業後の月の満ち欠けを見て、暦を感じる生活も良いかもしれません。私たちは目まぐるしく変化する情報を常にアップデートして仕事をこなしつつ、土と対話し、植物と対話し、「野を良くする」と書いて野良まわりをして、心身のバランスを整えるのが良いでしょう🌱🌾